春の土用って? 心と体を整える過ごし方

暮らし

春の土用ってなに?体と心を整える過ごし方

季節の変わり目は、なんとなく体が重かったり、気持ちが沈んだりしませんか?
そんなとき、自然のリズムに目を向けてみると、ちょっとしたヒントが見つかるかもしれません。
「春の土用(どよう)」は、そんな季節の変わり目に訪れる、心と体を整えるための期間。
この記事では、春の土用の意味や過ごし方、注意点を、やさしい視点でていねいに解説します。

春の土用とは?

「土用」という言葉、聞いたことはあるけれど、なんとなく「夏のうなぎ」のイメージが強いという方も多いかもしれません。でも実は、土用は年に4回あります。
土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前、約18日間の移行期間のこと。
つまり「春の土用」は、立夏(5月5日頃)の前、おおよそ4月17日〜5月4日頃までの期間を指します。
この時期は、春の生命力あふれるエネルギーが落ち着き、夏の気配が少しずつ漂い始めるころ。自然界も人の心身も、「次の季節に向けて準備を整える」ための時間なのです。
東洋の五行思想では、季節は「木・火・土・金・水」の五つの要素で構成されています。土用はその名のとおり「土」にあたり、すべての季節の“つなぎ”として、自然のバランスを調整する役割をもっているとされています。

春の土用の過ごし方 心と体をやさしく整える5つのヒント

では、この春の土用をどのように過ごせばよいのでしょうか?
無理をせず、今の自分をいたわるような暮らし方が大切です。

  1. 「土を動かすこと」を避ける
    昔から、土用の期間に「土をいじること(掘る・埋める・建てるなど)」は避けたほうがいいと言われています。
    これは「土公神(どくしん)」という土の神様が地中に宿っており、動かすとバランスが崩れると考えられていたため。庭いじりやリフォーム、引っ越しなどは、どうしても必要な場合を除き、“間日(まび)”という例外の日に行うのがよいとされています。
  2. 新しいことを始めるより「整えること」を意識
    土用は「チャレンジの時期」ではなく「調整と休息の時期」。新しい目標を立てたり、大きな決断をするよりも
    、今あるものを見直したり、暮らしを整えることを優先しましょう。こうした“暮らしの中の小さな整え”が、
    次の季節の自分を心地よくしてくれます。
  3. 食事は「軽く・やさしく」
    春の土用には、苦味や酸味のある春野菜や、消化にやさしい和食を取り入れるのがおすすめです。
    例えば、
    ・たけのこ、菜の花、ふきなどの山菜
    ・梅干しや柑橘類
    ・味噌汁やお粥、煮物などのシンプルな料理
    発酵食品も腸の働きを助けてくれるので、納豆やぬか漬けなどを積極的に取り入れましょう。
    そして、戌の日には、「い」のつくもの、「白いもの」を食べると良いとされています。
    「い」のつくもの…いちご、いわし、イカ、いんげん、いなり寿司、など
    「白いもの」…ごはん、餅、大根、豆腐、しらす、など
  4. 眠りを大切にする
    「春眠暁を覚えず」という言葉もあるように、春は自然と眠くなるものです。
    無理に夜ふかしをせず、できるだけ早寝・早起きを心がけることで、心身の調子も整いやすくなります。また、昼間にどうしても眠気が抜けないときは、15〜20分ほどの短い昼寝を取り入れて、リズムを整えるのもおすすめです。
  5. 心の声に耳を澄ませる時間をつくる
    土用は、外よりも「内側」に意識を向けるタイミングでもあります。
    日記をつけたり、簡単な瞑想や呼吸法を取り入れたりして、自分の本音に触れてみるのもよいでしょう。
    「今、何を感じてる?」「体はどう?」と、そっと問いかける時間が、こころの深呼吸になります。

春の土用を過ごすことは、未来の自分への贈り物

私たちは、いつも何かに追われるように毎日を過ごしがちです。
でも、春の土用という“少し立ち止まる期間”に気づくことで、暮らしにも心にも、静けさと余白が生まれます。
変わっていく季節に合わせて、自分自身もやさしく切り替わる。
そんな意識を持つだけで、無理なく調子を取り戻せるようになります。

自然のサイクルに寄り添いながら、自分自身の「調子」を見つめてみる。
それは、未来のあなたが心地よく生きるための、ちいさな贈り物になるはずです。

おわりに

春の土用は、がんばるための期間ではなく、「整えて、ゆだねる」時間。
心も体も、季節も、大きく動いているこの時期だからこそ、無理をせず、やさしい目線で自分を見つめてみませんか?

いつもより少しペースを落として、ひと呼吸。
それだけで、あなたの暮らしに穏やかさが訪れることでしょう。

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